こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。
前回の記事の最後に軽く発達障害関連の薬をこきおろしてみましたが、今回は薬物療法側から、子どものどういう特性や問題行動に対して薬が効くのか、特にコンサータ、ストラテラ、インチュニブといった多動衝動性(ADHD)に対して使う薬について説明したいと思います。
まず、薬が効かないケースについてです。一つは前回説明したそもそもの知的発達が低い場合です。例えば小学校2年生で授業(45分)で立ち歩きをやめられない際に、その子の発達が5歳レベルであった場合てす。一般的な5歳の子が45分間、全く理解出来ない授業をされる中、座ったままでいられるでしょうか?こういう例ではやはり多動性を抑える薬を使っても無効なことがほとんどてす。
もう一つが、自閉スペクトラム症があって、対人関係で不安が強い状態が続いていたり、感覚過敏により周囲からの刺激(視覚、聴覚とも)のストレスが大きかったりすると、二次的な症状として授業中の立ち歩きや、他児への暴力暴言が出るかもしれません。そういう時に、多動衝動性を抑える目的の薬だけ入れても変わりません。ストレスになっている不安や刺激を減らす環境調整と、それでも難しければ不安やこだわりを和らげる薬を先に考えるべきでしょう。
あとは論外ですが、家庭での虐待やネグレクトや、学校でいじめを受けているなどあれば、薬なんて出してる場合ではありません。
では、どういう時に薬は効くのでしょうか?それは問題行動(立ち歩き、他児に手が出るなど)が主にその子の持つ多動性から、仕方なく出ている場合です。本人からすれば立ち歩かずにいられない、気が付いたら手を出しているという状況です。じっとしていることに強い苦痛を感じる子や、抑制する気持ちが間に合わず人を叩く子は、あとから振り返りをさせて反省させても、当然その行動が無くなるわけが無いのです。こういうケースは薬を十分量使ってあげると途端に落ち着くことがあります。
つまり、そもそも発達レベル(発達年齢)から考えて病的とは言えない多動や、自閉スペクトラム症の二次的症状としての多動には効きにくいのです。また逆に強いADHD特性からくる行動は薬を使わないと抑えきれないのです。
このあたりの見極めが薬を扱える医師の役割となります。使うべきでない状態に薬を使うと、かえって状況を悪化させることも少なくないので慎重に処方します。薬が効かないからといって眠気の強い薬をどんどん増やしてフラフラにすれば授業中もずっと寝ていて立ち歩きも無くなるでしょうけど、それに何の意味があるのかという話ですね。
あまり知識が無い教育者のような方から威圧的に薬を出すように言われることもありますが、咳が出てれば咳止め出すみたいな簡単なことではないことを理解して欲しいです。
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