こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。
新年度になって2か月ほどたち、幼稚園でも小学校でも集団行動における問題行動(他児に手を出す、指示が入らない、授業中の立ち歩きなど)の相談を受ける機会が増えてきました。今回はそのあたりに多くみられる状況についてのお話です。
一般的に言葉を含めた知的発達が遅れている子は、それに伴いコミュニケーションの発達も遅れています。知的発達は幼児では主に言葉の遅れ(有意語や二語文、数や色の認識など)で、学童以上では学業成績に現れるのでわかりやすいですが、コミュニケーションに関する発達程度は周囲からはわかりにくいものです。しかし、概ね知的発達が遅れていれば、コミュニケーションの発達も同じように遅れていると考えた方が良いでしょう。
実際のところ、知能全体とコミュニケーションの発達に解離があることはあります、例えば自閉スペクトラム児であれば知能(IQ)は高いけどコミュニケーションの発達が十分でないことも多いです(ていうか、それが診断根拠の一つなわけですが)。でも、その逆で知能は低いがコミュニケーション能力が高いということはほとんどありません。
そして、コミュニケーションの発達が十分でないのに、高度なコミュニケーションを要求され続けると当然ストレスが蓄積されていきますし問題行動として現れます。
具体的な話をします。例えば、3歳児でまだ有意語が1つか2つ程度の子がいたとしたら、知的発達は1歳ちょっと考えられ、コミュニケーション発達もそのくらいの可能性が高いです。そうすると、その子に対して大人からはもちろん、他の3歳児とも同等にコミュニケーションをさせようとすると、当然うまく行きません。座らせて絵本の読み聞かせをしたって、じっとして物語を聞くなんてことが出来るわけないのです。大人(親)は子どもの見た目が3歳でも、1歳ちょっとだと思って遊びなどのやりとりをした方が、子どもは楽しく遊べるし、実はそれを続けることが遅れた発達を伸ばすことにもつながります。他児とのコミュニケーションについては難しいですが、3歳児の中には相手の発達レベルを読み取ってそれに合わせて上手に遊べる子がいます。まるで、弟や妹を相手に遊ぶように。そういう子を見つけて仲良くしてもらうのも良いでしょう。
学童についても具体的な話をします。国語算数といった授業にほとんどついていけない子がいたとします。おそらく知的発達は遅れている(学習障害の有無の確認が必要ですが)ので、他児とのコミュニケーションも難しい可能性があります。小学生の遊びも、幼稚園の延長のようにただ追い回すだけの鬼ごっこから、高鬼とか色鬼とかドロケイとかルールを伴う複雑なものになりますし、会話の内容もその場その場のわーきゃーやってるだけだったのが、好きなアイドルや昨夜のテレビ番組の話などになり、学年が上がるにつれてコミュニケーション能力の乖離が目立ってきます。授業は全く分からないし、友達ともコミュニケーションが取れずだと、学校にいる時間はストレスでしかないです。それでも毎日長い時間いかなきゃいけない状況が続くと、そりゃ問題行動や身体症状、登校しぶりも出て当たり前ですね。世間的にはインクルーシブ教育を進める流れですが、私はこういったケースは支援学級を利用するしかないと思います。
よく他人への暴力暴言、朝起きれない、頭痛腹痛、不登校といったことで相談されますが、自閉スペクトラムだとかADHDとかいう以前に、明らかな発達レベルの遅れの存在をほとんど無視か、見て見ぬふりで放置されてることがあります。気持ちはわかりますが、覚悟を持ってそこに向き合わないといけません。以前に書いたように一般歴な発達(知能)検査では発達障害は診断出来ませんが、知能全般の発達レベルはわかります。DQやIQが80未満なのに、加配なしで通常学級にいるのであれば、小手先の対応ではどうにもなりません。抑肝散だのエビリファイだのコンサータだのインチュニブたの飲ませたところで、効果は部分的か一時的なものです。
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