こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。
10月終わり頃からインフルエンザが増えてきましたね。クラスの大半が罹患しているという保育園も聞いています。個人的にはこの状況を予想していたので、経鼻型のインフルエンザワクチン(フルミスト®)の接種は出来るだけ早く済ませるのを勧めていました。それで多くのかかりつけ患者さんは10月初めに接種希望してくれたのですが、入荷数に限界がありやむ得ず11月以降にお願いした方も多く、申し訳なく思っています。そこで、今回はこのフルミストについて、効果やこれから接種される方に注意して欲しいことなどを書こうと思います。
フルミストの効果について
昨年は出荷数が少なくて、かつインフルエンザ流行も少なめだったのでよくわかりませんでしたが、今年はそれなりに流行が拡大継続しそうなので、従来の注射型ワクチンと比較が出来るでしょう。これまでの知見を調べてみると、フルミストも注射型と同様に接種後2週くらいしてから効果が出ると書かれてますが、実際はどうなのでしょう?フルミストは生ワクチン、従来の注射型は不活化ワクチンです。生ワクチンは弱毒化したウイルスそのもので生きたウイルスです、不活化ワクチンはウイルスを完全に死滅か無毒化したもので作られたものです。一般的に生ワクチンの方が不活化ワクチンより効果が高いです、例えば、生ワクチンである麻疹風疹や水痘ワクチンは生涯1~2回接種で終わりますが、五種混合やB型肝炎などの不活化ワクチンは4、5回と接種しないといけないことからもわかりますね。ですから、効果持続期間についてはフルミストは半年~1年と注射型よりはるかに長期間効果があるとされてますし、感染抑制効果についてははっきり明示されてませんが、おそらく生ワクチンであるフルミストの方が高いと思っております、何といっても生ですから。また、直接鼻粘膜に生のウイルスをぶっかけるのだから、普通に感染するのとほぼ同じなので、効果が出るのも注射よりはるかに速いのでは?接種してすぐくらいから原理的には効果が出るのではないかと推測しています。
これまでのところ、予防効果はどうか?
10月初めにフルミストを接種した子たちが、現在の流行下でどうかを注意して見ています。1人だけ2週以上前にフルミスト接種後で、しっかり40℃の高熱を出して発症した子がいました。それ以外のフルミスト接種者では把握している限り、まともにインフルエンザに感染して発症した子はおりません。ただし、フルミスト接種直後は、発熱などあっても迅速検査が出来ない(生ワクチンの影響で偽陽性が出るため)ので、検査をしてないというバイアスがかかっている可能性もあります(検査出来ないので診断漏れのある可能性)。ですので、もうしばらく期間をかけて観察しないとはっきりしたことはわからないです。
フルミストを接種する上での注意
このインフルエンザ流行期にフルミストをこれから接種するなら、いろいろ注意点があります。このワクチンは上述のように生きたウイルスなので、接種前にタミフルやリレンザ、イナビル、ゾフルーザといった抗インフルエンザ薬を内服か吸入していたら、接種した生きた弱毒化ウイルスはすぐに死んでしまうのでワクチン効果は得られません。
タミフルやリレンザは効果持続期間が短いので、最後に投与してから48時間以上開いていれば良いです、イナビルは効果持続期間が長いので、さらに長期間開けないといけないことが予想されますが、はっきり明示した資料が無く、5日間で良いとされていたり2週は開ける必要ありとする意見など様々です。確実性を求めるなら2週開けるのが良さそうです。私はほとんど使いませんがゾフルーザは内服後17日間は開ける必要があるそうです。
逆に、フルミスト接種後2週以内に抗インフルエンザ薬を使用すると、ワクチン効果が落ちるそうです。ですから、フルミスト接種直後にインフルエンザに罹患したときに、ワクチン効果を優先して抗インフルエンザ薬を使わずに治るのを待つか、ワクチン効果を犠牲にしてでも目前のインフルエンザの症状を抑えるために薬を使うかを考えないといけません。タミフルなど抗インフルエンザ薬は発熱期間を1日短縮させる程度とされているので、使わずにいく選択肢もありのように思います。
あと、フルミスト接種後2週ほどはインフルエンザ抗原検査したら、偽陽性が出る可能性があります。実際にやってみたらA型B型ともに陽性が出ます。だから、発熱しても検査が出来ず、症状と周囲の流行状況のみでインフルエンザの診断をすることになります。まあ、20年ちょっと前まで迅速検査なんて無かったから、全部検査なしで診断してたんですけどね。
まとめ
ごちゃごちゃしてきたので、まとめます。
・生ワクチンであるフルミストは、不活化ワクチンである注射型よりも効果が強いと個人的に予想している(知らんけど)
・フルミスト接種前のある期間(薬により異なる)にタミフルなどインフルエンザ薬を使ってるとワクチン効果が得られない
・フルミスト接種後2週以内にインフルエンザ薬を使うとワクチン効果が減弱する
・フルミスト接種後2週ほどはインフルエンザ検査が出来ない
これからフルミスト接種予定の方はご注意ください。従来の注射型ワクチンなら上記の心配は全くいりません、ややこしいからもう注射でいいやと思うならそれでも良いですが、私はそれでもフルミストを勧めます。
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ふきのとう (木曜日, 13 11月 2025 19:12)
信頼している先生だからこそお伺いします。本当にフルミストはインフルエンザに有効なワクチンでしょうか。マイチャッピー(chat GPT)に聞いたところ、大国アメリカでは数%の使用率、またこの薬はアストラゼネカ社だと出てきました。アストラゼネカといえばコロナワクチンで色々あったかと。また、インフルの広がり方があまりにもひどく、私はこのフルミストが説明書通り"水平伝播"していると推測します。先生がお伝えしてくれていることは正しくもありますが、真実の方がどうも疑問に残ってしまいコメントさせていただきました。テレビなどでも良いことばかりな情報が溢れているのもこわいです。
吉岡誠一郎 (日曜日, 16 11月 2025 18:10)
ふきのとう様
コメントありがとうございます。返信を書いたつもりだったのですが、送れてなかったようで遅くなり、大変失礼しました。
フルミストはアメリカでも比較的新しいワクチン(もちろん日本よりは随分早いですが)ですし、発売当初は効果が少ないことが報告されたこともあり、数%にとどまってるんでしょうか。うちの近辺ではフルミストが増えているとはいえ、ほとんど接種されていない地域も多いと聞きますので、国内全体ではまだかなり少ない使用率と思います。
アストラゼネカのことを置いといて。
現在のインフルエンザの流行がフルミストによるというのはかなり考えにくいです。流行している株がどういったものかは、必ず遺伝子解析などで調査されています(よくワクチンの予想が当たったとか外れたとかというのは、それで分かるわけです)、それがワクチン由来であればすぐに分かりますし、そうなら即刻発売中止、回収となります。
ふきのとう (火曜日, 18 11月 2025 14:38)
お忙しい中、ありがとうございます。よしおか先生からご返答頂けたこと心より感謝申し上げます。自分で情報を取捨選択していく時代、こうした医療に関する情報をブログなどで配信していただき助かっております。未来ある子どもたちのために何を選ぶべきか親として判断しかねる場面のたびにここのブログを読ませていただいております。
また何か疑問に思ったことがあった時はコメントさせて下さい。
2025年も残り僅かとなりましたがお体に気をつけてお過ごしください。