こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。
ブログの更新が滞ってしまって、すいません。公式LINEにも毎週記事を書くようになったというのもあるんですが、それは言い訳で、なかなか気が向かなかっただけです。ネタはあるんですけどね。今回は発達関連です。
乳児が始める指差しとは
定期健診で10か月~1歳半頃には必ず指差しの有無が確認されると思います。まず、子どもの指差しには大きく2種類あって、1つは要求のため、手の届かないものを取って欲しいという意思を伝えるためのものです。もう1つは、自分の気になったものを他者に伝えて興味を共有する目的のものです。実は他にもそういうコミュニケーションとは関係なく一人で気になったものに指差しすることもありますし、質問されたことに対する答えを示すときに指差すこともありますが、それは今回は省きます。
興味を共有するための指差し
要求の指差しは、まあコミュニケーションといえばそうですが、どちらかというと自分の目的を達成するために人を道具として使う意味合いとなります。もう1つの興味を共有するための指差しは、自分の面白かったことびっくりしたことなどを、他者と共有して共感を得たい、一緒に面白がったり驚きたいという、とても良好なコミュニケーションの芽生えを示しています。
二項関係から三項関係へ
実は赤ちゃんのコミュニケーションの初めは、「自分」と「ひと(相手)」または「自分」と「もの」の二つの関係のなかでしかありません。赤ちゃんが大人の笑顔を見て笑ったり、動くおもちゃをみて喜んだりと、自分と何かの間だけで成り立ちます。これを二項関係といいます。それが10か月頃から「自分」「もの」「ひと」の三者に興味を同時に示してコミュニケーションを取るようになります。これを三項関係といいます。特に「ひと」とのコミュニケーション(共感)を得るために、「もの」を介在させるようになり、このときに見られる行為として指差しがあり、発達を確認する健診では重要な要素となるのです。この二項から三項関係を作れるようになることで、一気にコミュニケーションが拡がり、同時に言葉も増えていきます。
指差しが出てないときは
自閉スペクトラム症など発達障害があると、「ひと」との交流に興味を示さないことがあり、そうすると三項関係が作られにくく結果として指差しがなかなか出ないことがあります。それゆえ、発達外来の初診では発達歴の確認で必ず指差しがあったかどうかが聞かれます。ただし、この共感を目的とした指差しが出ていない時、「指差し」という形で現れないだけで、子どもの視線や行動から三項関係が出始めていることもあるので、すなわち発達に問題があるというわけでもありません。指差しだけでなく、他の行動も含めて良く観察することが重要です。
三項関係が現れないときに
でも、やはり1歳になっても指差しもしないし、共感を求めてこないなって心配になったら、まず大人の方から共感を求めるような遊びや接し方を心がけるようにしましょう。そして、子どもが少しで共感を求めるような指差しや行動が見られたら、逃さず大げさなくらい反応してあげることが大切です。
当院の第1診察室のベッドの端にLOVOTのぬいぐるみが置いてあるんですけど、それを多くの子どもが診察室に入るなり見つけて、指差ししてワーワー言ってますね。けっこう無視して診察に入っちゃいますが、本当はもっと反応してあげる方が良いんです(笑)
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