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子どもの言語発達で単語は出ているが二語文がなかな出ないときに

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

最近、市の乳幼児健診はもっぱら3歳半健診を担当していますが、以前は1歳半を担当していました。1歳半健診では言葉の発達をチェックします、意味のある言葉(有意語)が3つ以上出ているかが一つの目安になり、それに満たない子は要フォローになることが多いです。だからパパ、ママ、ワンワンくらい出てればOKなのですが、早い子は既に二語文をガンガン話しているので、単語しか出てない子のお母さんはちょっと不安になるかもしれませんね。そこで二語文を促す一つの工夫について書こうと思います。

言語の恣意(しい)性について

二語文を形成するには、名詞だけたくさん覚えても成立しにくいですね。「ご飯、食べる」「猫ちゃん、かわいい」など動詞や形容詞の表出が必要になります。で、この動詞にしても形容詞にしても、その動作や形状から言葉の音を想像しにくくないですか?例えば口にものを入れて咀嚼して飲み込む行為と「たべる」という音が想像しにくくありませんか?小さくふわふわした猫が「かわいい」という音に結びつきますか?これは英語でも同様で「eat」でも「cute」でも言えることです。これを難しい言葉で「言語の恣意性」といって、ある言葉の音とその意味とは感覚的に結び付かないものであり、それはどの外国語も同様だそうです。そして、それは子どもの言語習得に際して高いハードルになり得ます。

オノマトペ(擬音語、擬態語)を駆使しよう

子どもに、食事させながら「マンマ食べようね」とか、庭の花を見せながら「お花きれいね」と言い聞かせても、それでその言葉を使うようにはなりそうもありません。何たってその意味と言葉に何の関連性も感じられませんから、恣意性がありますから。かつ、動詞形容詞は活用形が存在するので「食べる、食べたい、食べよう、食べれる」「きれい、きれいな、きれいね」といったふうに余計に覚えにくいですね。そこで、便利なのがオノマトペ(擬音語、擬態語)です。食べるなら「パクパク」とか「モグモグ」とか「ゴックン」とか。猫なら「コロコロ」「フワフワ」とかでしょうか。実際の音や感覚と、言葉の音が結びつきやすいとされています。これであれば、語末の活用変化もないですし、感覚的に習得しやすいですよね。

二語文がなかなか出ないとき

お気付きの方も多いと思いますが、小さい子を育ててると自然と周囲も普段の生活でオノマトペを多用するようになることがわかっていて、子育てしている人間は本能的に既にやっているんでしょうね。二語文がなかなか出なくて心配なときは、動詞形容詞の習得は言語の恣意性や語尾の活用などでとても難しいので、二語文表出の入り口としてオノマトペをいつもの遊びや生活の中で積極的に使っていくのが良いのではと思います。