こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。
園とか学校、乳幼児健診などで発達検査を受けてみたらどうですか?と勧められることがあります。これを言われると保護者としてはぞわぞわしますね。実際、園や学校などの集団生活の場で、年齢相応に活動に参加出来ていない、指示が入らないなどがあったときに、直接「あなたのお子さんは、発達に障害があるかもしれません」と言えない(医者じゃない立場から言えないということでしょうけど)から、検査結果で知ってもらいましょうってことなのだと思います。
一般的な発達検査では、発達障害は診断できない
まず、正確な知識をもっていただきたく思います。最も広く施行されている発達検査はWISCだとかK式とかになるんですけど、これらは子どもの持つ多くの発達のカテゴリーのいくらかを評価することをします。しかし、いわゆる発達障害の主要疾患である自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動症、学習障害を直接評価する項目はありません。K式には言語社会という項目がありますが、この課題ではASDで問題になるような社会性障害(対人関係など)を直接評価が出来ません。多動衝動性の評価はいずれの検査でも出来ないし、語彙や言葉の理解は見れても母国語での読み書きのレベルの評価も出来ません。実際には強い発達障害の特徴があると、WISCでもK式でも低い指数が出る(他の発達項目も低い)ことが多いので、家族に問題意識を持たせることについては達成されますが、しばしば正常かそれ以上の数値を叩き出してしまうこともあります。実際に検査を行う先生は、検査中の本人とのやりとりで発達障害の特徴をとらえているので、結果説明の際に数値に現れてない発達の問題点を伝えてくれる可能性はありますが、やはり点数が良いとなかなか保護者は納得されないかもしれません。
発達障害を疑うのはいいが、検査をしないといけない?
発達障害を疑っているのに、発達障害を評価出来ない検査を勧めるのってなんか違和感がありませんか?低身長を疑って、体重計測を勧めているような感覚がします。そりゃ低身長なら低体重なことも多いでしょうけど、身長は評価してませんからね。一応言っておくと各発達障害の疾患を評価する専門的な検査は存在します、ただし出来るところが少ないかもしれません。園や学校は、何とか検査させて診断名が付いて、保護者が納得の上で対策をする方がスムースだという認識があるかもしれませんが、私は信頼関係があれば率直に障害の可能性を伝えて対策を提案するのでも十分なのではないかと思います。診断名が付いた方が良いケースも確かにありますけど多くはないし、一人一人の課題に、一つ一つ向き合い対策していくことには変わらないわけですし。だいたい、検査して医療機関を受診させても、発達障害の診断を正確に出来る小児科医なんて、世の中にほとんどいませんしね(私含めて)。
なお投薬に関して
なお投薬がどうしても必要となるケースもありますし、その際は診断がついていることが前提となります。でも、基本的に発達障害の診断に発達検査は必須ではないので、やはりそういう意味でも検査は必ずしも必要ではないです。ごくまれに、薬を飲ませて欲しいから病院に行くように勧める先生がいますが、教育者としてどうかと思います。
で、検査を勧められたら
上記のように、一般的に最初に施行される発達検査は発達障害の診断につながるものではないし、数値が正常でも発達障害を否定は出来ません。しかし、発達における得意なことや苦手なことがわかったり、何より検査を担当する先生は大抵が子どもの発達を良くわかっているので、検査結果説明のときに結果だけでなく相談も出来ることが多いです。このように得られるものもあるので、勧められたら前向きな気持ちで検査を受けてみられたら良いと思います。
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