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模倣を促すために出来ること

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

乳幼児健診では医師の診察前後に、発達に関するチェックが行われます。そこで、年齢月齢相当の課題が出来ないと子どもは、周囲の大人やきょうだいの模倣をするかどうかを聞かれることがあるかもしれません。

子どもの発達における模倣とは

子どもの発達において模倣行動は重要な要素であり、顔の動きを真似して表情を作るようになり、いろいろな発声を真似して言葉を発するようになったり、コミュニケーションや社会性の下地にもなります。それは、表情で喜怒哀楽を示す術を学び、言葉を交わして気持ちや要求を伝えることで、非言語性、言語性を含めて人同士のコミュニケーションが可能になっていきます。ですから、子どもによってあまり模倣をしたがらないときは、健診でチェックされる課題が難しくなっていることがあります。

模倣を促すために出来ること1

そこで、自分からあまり模倣をしない子に模倣行動を促す関わりについて述べたいと思います。一つは子どもが簡単に出来そうな大きな動きや声などが良いですが、子どもの興味をひきながら、ちょっとでも同じようなことをしたら、子どもが喜ぶように大きな反応で褒めて行動を強化していくことです。歌を歌って気を引きながら簡単な踊りをして、それを一緒に出来たり真似したら拍手して喜んで見せるなど。♪トントントントン、ひげじいさん♪みたいなやつですね。でも、これは正攻法だし既にやってるよって保護者さんもいるかもしれません。

模倣を促すために出来ること2

なかなかこちらの動きを真似してくれないときは、逆にこちらが子どもの真似をしてみると良いことがあります。これはミラリングとか随伴模倣とか応答的模倣とか言われる方法です。子どもが「きゃー」って叫んで手を挙げたら、保護者も同じように「きゃー」って叫んで手を挙げる。一人で遊んでいても、隣で同じ遊びをして一緒に喜ぶ仕草を示すなど。大の大人たちが乳児の動きを一生懸命真似してると、子どもも面白がってくれることも多いです、それを繰り返しているうちに大人の模倣をし始めることがあります。お兄ちゃんやお姉ちゃんがいたら協力してもらうのも良いですね。

あせらず楽しみながら

子どもの発達を伸ばす介入の全てにおいて共通しますが、楽しくやらないと上手く行きません。乳幼児健診で指摘されるとあせりが出てくるかもしれませんが、その気持ちを抑えて時間をかけて子どもも大人も楽しみながら上記の方法を試してもらうと良いかと思います。