こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
先日、3歳半健診に行ったときのこと、30人くらい診たんですが、うち2人も全くワクチン未接種の子でした。いつもは3回行って1人くらいなので偶然だと思います。地域差もあると思いますが、滋賀県栗東市あたりでは100人に1人くらいでしょうか。極端な反ワクチン派で医療不信の人は健診にも来てないでしょうから、もう少し多いかもしれません。
母子手帳のワクチン欄が真っ白なのを見ると
健診だけでなく普段の外来でも診察に入る前にワクチン欄を見て全く接種歴が無いのを見ると、そりゃまあ、はぁー↓となるんですけど、気持ちを奮い立たせてそのことを指摘します。そりゃ私たちだって話しするの嫌ですよ、もちろん言われるお母さんたちも嫌でしょうけど。それが嫌で健診にすら来なくなったら本格的に困りますし。昨今のネットでのエコーチャンバー効果(インターネットのシステムとして自分と近い考えの投稿が頻繁に自然と目に付くように設定される)もあり、ガチガチに凝り固まった反ワクチンの人を相手には、数分の診察時間ではどんなに正論をもってしても解きほぐせるわけがありません。お互いに後味悪く終わるに決まっています。
実際に話してみると
実際話を切り出してみると、確かに顔をこわばらせて接種しないことに決めていますと強く言われる人も多いです。そういうときは、理由も聞かず、①接種した方が絶対に良いこと、②今からでも遅くないので接種を始めて欲しいということ、を一方的に伝えて終わらせます。時々、申し訳なさそうに自分の親族がワクチンの副反応でひどいことになったなど理由を言われる方もいますが、その時はもう少し丁寧に、感染症で命を落としたり重度の後遺症を残すリスクの方が天文学的に高いことを説明します。でも、そういう方の本心はケンカ腰になるのを避けたいだけで、前者と同じく強い反ワクチン思想の方も多いかもしれません。
意外に多いのが迷ったまま未接種
意外と多いのが、反ワクチンと接種推奨の両方の意見を聞いて迷い続けて結局未接種のお母さんです。こういうお母さんって、きっかけを無くしてしまってたり、1歳くらいにもなると今さら接種出来ないと誤解してたりするので、逆に指摘すると喜ばれたりします。あと、外来でお父さんが連れてきてて、お父さんにワクチン未接種なことを指摘すると、全く知らなかったとびっくりされることもあります。反ワクチンで未接種を貫いている保護者って家族で話し合って決めているものだと思われてそうですが、お母さんが独断で接種させてないこともあるんですよね。こういうときは、お父さん、後は任せた!って気分です。
何も言わずにおくのは止めようと思ってる
ガチガチの反ワクチンのお母さんに指摘するのはすごく気が滅入る作業なんですけど、上述のように時々それをきっかけに接種を始めてくれる人がいるというのと、何より子どもという、人権をもつ第三者のことだからというのが一番大きいですね。私は別に肺がんの人が喫煙しようと、肝硬変の人が飲酒しようと、別に自分の責任なんだからどうでも良いと思うし、出来れば極力医療費を使わずに死んでもらえればと思ってます。でも、もしこの子が将来にワクチンで防げる感染症や疾患によって、例えば麻疹やインフルエンザ脳症、B型肝炎からの肝がん、子宮頚がんなどになって、不幸な結末になったときに、もちろん接種させなかった保護者が一番悪いんですけど、何も指摘しなかった小児科医としての自分にも責任があると思ってしまいます。だから、嫌われること覚悟で少しでもワクチン接種して欲しいことを伝え続けようと思っています。
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