10周年を迎えて、これまでとこれからのこと

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

いろんなご意見をいただき、開院より少し前からだから11年ほど続けていたはてなブログの院長ブログを、ホームページ内に移行することにしました。なにせ全部で800記事ほどあるので、すべてを移行する気には到底ならないんですけど、正直何も考えずに投稿し続けたので、カテゴリもぐちゃぐちゃで、整理しつつ加筆修正しつつ移行していこうと思います。上手く行くか不安だし、結局はてなに戻るかもしれません(笑)。

手始めに、今年の4/17の開院11年目に突入したときの記事を載せます。10年の振り返りとこれからの10年に向けた抱負を書いてるので、長文ですがぜひ読んでいただければと思います。ちなみに、ベンチプレスは現在97.5kgに到達しました(笑)。

以下転載：

10年前の昨日、2015年4月16日に当院は開院しました。昨今、というか当時もそうだったですが内覧会で近隣住民の方にお披露目してから開院が当たり前のところを、同じところにあって閉院することになったクリニックの解体工事が遅れ、駐車場の舗装が間に合わず、院前の看板も間に合わない状態で開院日を迎えました。その日は木曜日で午前のみの外来でしたが患者さんは８人でした。まあ、こんなふうにお粗末な感じで始まった当院ですが、患者さん、業者さん、スタッフたちのおかげで、何とかかんとか10年続けることが出来ました。

開院した年からすぐに地域の二つの公立幼稚園の園医として健診に行ってました。当時、健診しながら思ったのは、ひどいアトピー性皮膚炎の子や食物アレルギーで食事制限している子がなんと多いことかということでした。別に私はアレルギーの専門家でも、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの専門家でもありませんでしたが、これは何とかしてあげたいなと思ったものでした。以後、赤ちゃんのうちから当院に来てくれる子たちは、適切な皮膚の管理や湿疹治療を行い、安易な食物アレルギーの検査や食事制限は極力避けるように進めてきました。そうすると数年前頃から地域の幼稚園での健診で、ひどいアトピーや食事制限している子が本当に少なくなりました。地域の小児科医としての役割が果たせたような実感を得ることが出来て嬉しく思いました。

でも、このようなことは私一人だけで出来るものではありません。看護師を始めとして、院内スタッフみんながあらゆる疾患や子どもの成長発達、育児ケアなどの勉強をして、その治療や管理の知識を得て、多くの患者さんや保護者さんに説明が出来るようになっています。いつからかそういう向上心にあふれた空気感が醸成されるようになりました。例えば一時期他の小児科クリニックの経験が長い方が気楽な感じで入職されると、そのレベルについていけずに短期間で辞めてしまうというのが続出しました。最近はそういう向上心をしっかり持っておられる方のみを採用するようにしています（もちろん小児科クリニック経験者でしっかりとした向上心をもつ方は採用します）。

また、クリニックの方針として他院がなんだかんだ理由をつけてやらないことを率先してやっていくようにしています。小児在宅医療の開始であったり（これは様々な事情で思い描いていたようにはなってませんが）、小児患者を主に対応する訪問看護ステーション（かたつむり）を設立しました。子宮頚がんワクチンを積極的に接種し始めた頃は地域ではうちだけでしたし、就学前や二種混合時期に三種混合接種を積極的に勧めて接種数もダントツだと思います、そのため現在の百日咳の流行から多くの子どもたちを守れてると思うと本当に良かったと思っています。母乳育児専門の助産師による母乳外来を小児科クリニックで始めたのも当院が地域では最初と思います（今ではいくつかのところでされてるようですが）。当時母乳育児が上手く行かなくて諦めてるお母さんがとても多く、それが母乳外来で面白いように問題が解決していったことに当時驚いたことを覚えています。現在ではRSウイルスの母子免疫ワクチン（アブリスボ®）を積極的に勧めており、いろんな事情でかかりつけの産院で接種出来ない妊婦さんたちが来てくれています。小児科でこのワクチンをやってるところ他にどれだけあるのでしょうか、RSウイルスの怖さを誰よりも知っている小児科医こそが勧めないといけないのに。

これからも、子どもやその家族が病気などの問題に悩み苦しむ時間が無くなって、貴重な家族の楽しい日々を過ごせるように、出来ることを考えて率先してやっていきたいと思っています。開業当時は40歳だったので現在50歳ですが、まだまだ衰える気はありません。今日もベンチプレス95kgを挙げ記録更新してきましたしね（笑）。

また10年、栗東よしおか小児科をよろしくお願いいたします。