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栗東よしおか小児科

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当院の熱性けいれんの治療方針

はじめに:

熱性けいれんは読んで字のごとく熱の出たときに子どもがけいれんすることなのですが、体質により(日本人は8%くらい)、乳幼児期に発熱時に出現する数分の全身けいれんのことです。体質によるということで、脳の病気の症状ではないものを指します。つまり、そのけいれんが脳炎、髄膜炎、てんかん、頭部外傷、脳腫瘍などの症状であれば熱性けいれんとは言いません。

 

診断と治療:

診断はほとんどの場合で症状のみで判断します。6か月~5歳の乳幼児に発熱時に出現する全身性で左右対称の数分のけいれんというのが一般的で、乳児期早期や5歳以上の年長児であったり、左右非対称の動きであったり、けいれんせずにぼーっとした意識障害だけだったり、熱が38℃前後など微熱であったり、数分で止まらず長時間持続するけいれんだったりするなどの非典型例であれば、熱性けいれんではなく上記の脳の病気を疑い、脳波やCT/MRIといった脳の検査をしたり、入院で経過観察することもあります。

 

通常の熱性けいれんであれば、一生で2~3回のけいれんで終わるし、脳へ後遺症を残すこともないので、典型例であれば救急搬送されても診察だけで何もされず帰宅させられることが多いと思いますし、その後も特に検査や治療を勧められることなく終わります。

 

しかし、非典型例のけいれんであったが、検査しても特に病気が見つからなかったり、典型的でも発熱の度にけいれんを繰り返す場合は、けいれんを予防する目的でジアゼパム(ダイアップ®)という坐薬を発熱に気付いた時点で入れる治療をされることがあります。これを行うかどうかは、学会はガイドラインで指針を出していますが、医師により多少方針が違うこともあります。

 

 

治療に関する個人的意見:

子どもがけいれんして慌てて救急車呼んで病院行ったのに、検査も点滴も何もせずにあっさり帰らされて戸惑う方もいるかもしれませんが、こういうわけなのです。実際、しっかりけいれんの状況を聞き取って、けいれんが確実に止まっているかの確認もしてるはずなので安心して下さい。

 

乳幼児のけいれんはほとんどが熱性けいれんなので、救急車は呼ぶ必要が無いという人が医療者にもいますが、私はけいれんが出現したらすぐに救急車を呼んで欲しいと思っています、出来れば動画を録りながらしてくれればなお良いです。そのけいれんが熱性けいれんではなく脳の病気によるものであれば、自然に止まらないけいれんの可能性があり、強いけいれんが長時間続くとそれによる呼吸抑制も相まって、脳に重大な後遺症を残す危険があります。その場合は一刻も早く病院に搬送して薬でけいれんを止める必要があります。15分以上けいれんが続いたら救急者を呼んでとか言ってる医療者もいますが、正気か?と思います。呼吸が出来なくなるような強いけいれんを15分以上も放置されたらかなり厳しい状態になっているでしょう。

  

最後に:

歴史的には20年前頃は熱性けいれんに対して過剰に警戒する治療がされていて、典型的でも1回のけいれんがあっただけで、何年も長期間ジアゼパム坐薬治療がされたりしてたので、それを抑制するような呼びかけがなされました。今は逆に警戒しなさ過ぎる風潮となっている気がします。けいれん自体も脳の病気も本来やはり後遺症を残しうる怖い状態なので、慎重な対応が必要な疾患と考えます。

(2025/5/8)